人を治すお医者さん

昨日、とても面白い歯医者さんとお会いしました

渋谷の真ん中に歯科医院を構えていらっしゃいますが、
その歯科医院はホームページもなければ、電話帳にも載っていません、当然他の宣伝行為もされていません。
しかも定休日も診療時間も決まっていません。もちろん料金も

紹介してくれた方曰く「クリニックにお電話してつながる確率が30％程度ですから」

先生は「僕は仕事は30％でいいの。本当は早く引退したい。」（まだお若いですよ！）

その言葉通り（？）、多彩な趣味で、アクロバット飛行の競技で入賞したり、海中撮影の写真は玄人はだし


それでも、全国からひっきりなしに患者さんが、各地の病院の紹介でいらっしゃるそうです。
（つまり、ちょっと技術的に難しい患者さんばっかりが集まる病院です）


それもそのはず…。だって、超面白い先生なんです

この先生、歯医者さんです。

そして解剖学の博士を取得されているので、解剖学が得意だそうです。
まぁ、医師の大多数が解剖学は勉強されているので、それはあまり珍しいことではないのですが…

ただ一般的な医師は、自分の専門分野が歯科なら、歯のこと、口腔外科、せいぜい表情筋との連動。
この辺りを治療します。

ところがこの先生、解剖学が専門で、しかもお好きなのでしょう。

口から全身、あるいは精神疾患まで治してしまいます

「だって、僕は人を治してるんだよ。目の前の人が困っているなら、全力で考えてあげたいよね」

と、こともなげにおっしゃいます。


ですから、顎が歪んで歯並びが悪いことの原因が骨盤や股関節なら、簡単な施術もします。←って、本人はおっしゃいますが、全然簡単じゃない施術をされています。
（施術ベッドがある歯医者さんなんて初めて見ました！）

先生は「医療は、テクニックや機械じゃなくて、どれだけ目の前の患者さんに関心を持って向き合えるか。ってことだと思うんです。
なんで、最近のお医者さんは患者さんに関心を持たないのかな～」って、おっしゃってました。

なんとなく、私たちの業界にも通ずる考え方だな～、なんて不遜にも思ってしまいました。


実際に、たくさんの症例を見せていただきました。

驚くほどの結果と、驚くほど細かいデータ収集です。


私が、義歯患者専門にフェイシャルトリートメントをしている。という話から
表情筋を鍛えることの重要性の話になり、先生が長年研究しているデータを見せていただきました。

表情筋を鍛えることは、脳が活性化するのだそうです。
そして、さらに精神状態も安定するというデータが出ていました。


書きたいことは、キリがないのですが、最後に私がとても感動した言葉と、さらなる勉強の重要性を感じた言葉を書きます。

先生の部屋には、パプアニューギニアのお面がいくつも飾ってあります。
聞けば、わざわざ買いに行かれたそうです。

なぜ？

「このお面は、医療の原点なんです。医という字は、昔は「毉（※下は巫という字です）」と書いたのです。それは、医療が祈りだったということです。」

「医療の原点は、その人の健康を祈ることなんです。」

「そしてこのお面は、魔除けや厄除けに健康の祈りとして使われたのです。」


なんだかね～。もう涙が出そうになっちゃいましたよ。

その後医という字は、醫という下に酒みたいな字がつくのですが、それは薬を意味するのだそうです。
薬で治すことが主流となってきた医療の変遷ですね。


そして最後に
「オルタナティブ（代替療法）をされる方は、バックグランドが浅すぎるよね。
だからすぐに『宇宙エネルギーで治す』とか言い出すし、それはそれで否定しないけど、
きちんと科学的に説明出来るだけの背景を勉強するべきですよ。」

と、耳に痛い言葉をいただきました。

でもなんだか、その言葉すら胸にジンと響いたんだな～。なんて言うか愛情があるんです。

確かに、先生の努力と経験と貪欲さに比べたら、私はまだまだまだまだまだ…未熟です。


先生は、趣味の凝り方を見てもそうなのですが、要はオタクなのです。

だから私も、今でもオタクと言われていますが、もっとオタクになろうと思いました。
もっと幅を広く、いろんな視点でアロマテラピーやトリートメントを語れるように、そしていつか先生に『科学的』に説明出来るように勉強します